節と句

英語の文法用語(あらゆる言語で共通だが)の中で「節」と「句」があります。簡単に言うと、どちらも英語の文(sentence)の構成単位になります。これらの知識は英会話にも英語試験にも直接関係はありませんが、把握していると文法的理解が楽になるため、私は積極的にレッスンで使うようにしています。覚えてもらえると私も教えやすいという面もあり、優秀な生徒さんの場合、中学生のうちに教えているほとです。


@ 「句」とは?

1つの単語は word ですが、これが2つ以上組み合わさることで新たな意味を持つようになります。これが「句」と呼ばれる単位です。普段から何も考えずに使っているような何の変哲もない word の組み合わせが実は「句」です。例えば「今朝」は this morning ですが、これも立派な句になります。「車で(行く)」の by car も同じです。take care of も句です。

もう少し掘り下げる、take care of は動詞を含む、あるいは動詞を柱とした句であることから「動詞句」になります。this morning と by car は「副詞」(動詞を修飾)の役割を持っているため「副詞句」になります。他にも例えば very small car は「名詞句」です。

ところで「句」は英語では phrase になります。つまり「フレーズ」です。英語学習で「句」はあまり耳にしなくても「フレーズ」は良く耳にすると思います。そしてフレーズと「イディオム」(idiom)がしばしば同義扱いされます。

イディオムは「慣用表現」であり、その構成が「句」のそれに限定される必要がありません。事実、諺のように文章が丸ごと慣用表現だったりするものさえあります。また、イディオムの場合、それらを構成する単語からは単純に連想できないような「特殊」な意味を持つことが少なくありません。例えば kick the bucket や bite the dust はそれぞれ「バケツを蹴る」「砂をかむ」が直訳ですが、いずれも「死ぬ」を意味する慣用表現です。逆に this morning などは慣用的に使われますが、あまりに当たり前の意味なのでイディオム扱いされません。

その意味で句とイディオムは厳密には異なるのですが、実際「慣用句」と呼ばれるように、慣用表現的に用いられるフレーズが多数存在するのも事実のため、両者が混同されるのも無理からぬことだと思います。


A 「節」とは?

「節」は英語では clause といいます。句である「フレーズ」は日本語でも良く耳にしますが、「クローズ」を耳にすることはまずありません。これだけを見ても、英文法における「節」の存在感の薄さは際立っていると思います。・・・ですが、大変重要です。

節とは「文」(sentence)を構成するための最小単位を意味します。文が文であるためには主語と動詞があることが最低条件(英語では主語が原則として省略できない点に注意)です。これが「節」という単位になります。その構成から節と文が同義と捉えられがちですが、実際には1つの文中に節が2つ以上あるのが当たり前です。次の例文を見てください。

1) I think that 2) Masao broke the window because 3) he looked very nervous.
酷くオドオドしているようだったので、マサオが窓を割ったのだと思います。

上は1つの「文」ですが、3つの「節」で構成されているのが分かると思います。1つの文の中に節が複数存在するのは接続詞や関係詞(関係代名詞など)があるためです。そのため、節にも色々な種類があったりします。

上の文を例に解説すると 1) は文の柱となっている節なので「主節」と呼ばれます。2) 3) はそれに従う節ということで「従属節」と呼ばれます。また 2) は that 内の節のため、that節とも呼ばれます。3) は接続詞内の節のため、接続詞節(※)とも呼ばれます。例文には登場していませんが、関係代名詞の節は関係詞節となります。

(※)I think that の that も文法的には接続詞らしいのですが、if や because のような接続詞としての「明解さ」が無いので、個人的には接続詞と呼んでいません。